昔から交通の要所だった小野路
風薫る5月、外を歩くのにもよい季節になりました。風景を楽しみながら歩く道を紹介するフットパス活動を行う団体「みどりのゆび」の神谷由紀子さんと尾留川朗さんに小野路のコースを案内してもらいました。大型連休に、近場で緑の散歩を楽しんでみては。
今回歩くのは、町田市小野路町鎌倉街道沿いの別所バス停からスタート、同小野路町888の1、小野路里山交流館まで、ゆっくり歩いて約2時間のコースです。
交通量が多い鎌倉街道から小型車1台がやっと通れるくらいの道に入ると、一転してのどかな田園風景に。この道は、江戸時代、現在の調布市にあった布田五宿へと続く江戸への近道、布田道。新選組の近藤勇等が小野路名主である小島家等へ出稽古に通ったそうです。「この道から見る風景は当時とほぼ変わらないのですよ」と神谷さん。
野菜の無人販売がある分岐路を右に進むと、里山が広がります。「ここはきれいな湧き水が豊富で、夏にはホタルが飛びますよ」。坂を上りきった妙桜寺から左の雑木林へ。落ち葉と土の感触を楽しみながら歩くと、右手に柵で遮られた道の跡が。「新田義貞が鎌倉幕府の征伐に通ったとされる鎌倉古道です」。
眺望を楽しみながらさらに道を進み、分岐点を左の別所方面へ。雑木林を出て、道標を頼りに布田道を歩きます。関谷の切り通しに到着。鎌倉古道と布田道が交差する場所で、山を人工的に切り開いて道が作られています。
細い田舎道をたどって旧小野路宿へ。自動車に注意しながら進むと、ゴールの里山交流館が右手に見えてきます。
幕府直轄地でもあり、歴史上、常に交通の要所だった小野路。その歴史とともに、市や市民団体、地元住民により、景観や緑地を守る活動が行われています。「市街地から近い距離に、このような場所が残されていることが奇跡とも言えます。地元の皆さんに感謝する気持ちを持って歩きたいですね」と2人は話します。
問い合わせは、みどりのゆび事務局(電042・734・5678=神谷さん)へ。